【課題012】
人材は探すものなのか、それとも出会うものなのか。自分なりの考えをまとめてください。
「なかなか良い人材に出会えないんです。」
経営者や採用担当者の方から、このような相談を受けることがあります。
求人を出していないわけではない。
面接もしている。
それでも「この人だ」と思える人材と出会えないというのです。
採用の話になると、多くの場合は方法論の話になります。
どの求人媒体を使うのか。
採用ページをどう作るのか。
面接で何を聞くのか。
もちろんそれらは大切です。
しかし、話を聞きながら私は別のことを考えることがあります。
それは、求人票には書かれていないことです。
- 求職者は条件だけでなく「入社後の人間関係」をどのように捉えているのか
- 求人票には書かれていない「職場の空気」は、どのように伝わるのか
- 採用とは「人を探すこと」なのか、それとも「自分たちの在り方を示すこと」なのか
この記事は、自社に必要な人材に出会うために経営者や採用担当者がどのような意識を持つべきかについて、セールスパーソンおよびビジネス指導者としての立場から、私の考え方を整理し共有するものです。
求職者が本当に気にしていること
求人票には多くの情報が載っています。
- 仕事内容
- 給与
- 勤務時間
- 福利厚生
- 勤務地
どれも大切な情報です。
しかし、求職者の立場になって考えてみると、実はもう一つ気になっていることがあるのではないでしょうか。
それは、入社後の人間関係です。
どんな人たちが働いているのか。
どんな雰囲気の職場なのか。
上司はどんな人なのか。
同僚とはどんな関係になるのか。
人は、一日の多くの時間を職場で過ごします。
そう考えると、仕事内容や待遇と同じくらい、どんな人たちと働くことになるのかは大きな関心事のはずです。
しかし、この部分は求人票にはほとんど書かれていません。
書こうと思っても難しいのかもしれません。
人間関係や職場の空気は、数行の文章で説明できるものではないからです。
けれど、だからこそ一つの問いが生まれるように思うのです。
求人票には載っていないことを、どのように伝えるのか。
会社の「空気」は外から見えているだろうか
以前、ある経営者と採用の話をしていたときのことです。
その会社には、社内では共有されている価値観がありました。
仕事に対する姿勢もありました。
お互いの関係性にも、ある種の空気がありました。
ただ、それらはすべて社内では当たり前のことになっていました。
しかし外から見ると、その空気はほとんど見えません。
求人票を見ても、会社の考え方は伝わらない。
ホームページを見ても、人間関係の雰囲気はわからない。
つまり、会社の中には文化があるのに、外からはそれが感じ取れない状態だったのです。
求職者は、会社の中に入ったことがありません。
だからこそ、限られた情報の中で想像するしかありません。
この会社では、どんな人たちが働いているのだろうか。
自分はここでやっていけるだろうか。
人間関係はどんな感じなのだろうか。
そうした想像の材料が少ないと、人はなかなか安心して一歩を踏み出すことができません。
採用とは「自分たちを見せること」かもしれない
採用というと、多くの場合は「人を探す活動」として考えられます。
- どこに募集を出すのか
- どうやって応募を増やすのか
- どうやって見極めるのか
しかし、別の見方もあるのではないかと思うのです。
それは、自分たちの職場を見える形にしていく活動という見方です。
どんな会話が日常的に交わされているのか。
困ったとき、誰がどのように助けてくれるのか。
上司や同僚は、どんな姿勢で仕事に向き合っているのか。
そうしたことが少しでも伝わると、求職者は「この職場の中にいる自分」を想像できるようになります。
人は、条件だけで会社を選んでいるわけではありません。
むしろ、
「この人たちと働きたいかどうか」
という感覚も、静かに影響しているのではないでしょうか。
必要な人材に出会うために
自社に必要な人材に出会えるかどうかは、採用の技術だけで決まるものではないのかもしれません。
むしろ、
私たちの職場には、どんな人間関係があるのか。
どんな価値観の人たちが集まっているのか。
どんな空気の中で仕事が行われているのか。
そうしたものを、経営者や採用担当者が日頃から言葉にできているかどうか。
そこに、静かに関係しているように感じます。
求人票に書かれている情報は、ほんの一部です。
その外側にあるものこそ、実は大切なのかもしれません。
- 会社の文化
- 人と人との関係性
- 日々の仕事の空気
そうしたものが少しずつ伝わっていくとき、もしかすると、自社に合う人材は「見つかる」のではなく、自然と出会えるものなのかもしれません。
採用とは、人を探す活動なのでしょうか。
それとも、自分たちの職場の姿を外に示していく活動なのでしょうか。
そんな問いが必要になるのかもしれません
まとめ
- 求職者は仕事内容や待遇だけでなく「入社後の人間関係」を強く意識している
- しかし職場の空気や価値観は求人票では伝わりにくい
- 採用とは人を探す活動であると同時に、自社の在り方を外に示す活動でもある
併せて読みたい一冊
『WORK RULES!(ワーク・ルールズ!)』ラズロ・ボック
Googleの人事責任者が、人材採用や組織づくりについて語った一冊です。
制度や仕組みの話だけでなく、「どんな文化の組織をつくるのか」という視点が静かに考えさせられます。
もっと深めるためのメモ
「採用の前提」から深掘りしてみる
- 採用は本当に「選ぶ側」と「選ばれる側」に分かれているのか
- 企業は人材を見極めているのか、それとも見られているのか
- 自社に合う人材とは、どのように定義されるものなのか
「人間関係」を深めてみる
- 良い人間関係とは、どのようにして生まれるのか
- 組織の空気は、意図してつくることができるのか
- 人間関係の質は、採用によって決まるのか、それとも入社後に育まれるのか
「言語化」に踏み込んでみる
- 会社の価値観や空気は、どこまで言葉にできるのか
- 言語化された理念と、実際の現場のズレはなぜ生まれるのか
- 自社の魅力を語れない組織は、何が起きているのか
「経営者の在り方」に寄せてみる
- 経営者は、どんな人と働きたいと思っているのかを言語化できているか
- 経営者の在り方は、採用にどのように影響しているのか
- 自分自身が一緒に働きたいと思える存在になれているか
「出会い」という概念を広げてみる
- 良い出会いは、意図して生み出せるものなのか
- なぜ同じ活動をしていても、出会える人が違うのか
- 人が人を引き寄せるとは、どういう状態なのか
「採用と営業の共通性」に踏み込んでみる
- 採用と営業は、本質的に同じ活動なのか
- 人が「この人(会社)と関わりたい」と思う瞬間はどこにあるのか
- 選ばれる側になるとは、どういうことなのか