【課題018】
情報をたくさん収集することのメリットとデメリットは何か。自分が情報を集める際に注意しなければならないことは何か。自分なりの考えをまとめてください。
「情報は、多ければ多いほどいい」
かつての私は、疑うことなくそう信じていました。
新人の頃の私は、とにかく必死に情報をかき集めていた記憶があります。
知識さえ増やせば、自ずと成長の階段を登っていける。
そう考えていたからです。
けれど、手元の情報が積み上がっていくのと反比例するように、心の中の「迷い」が深くなっていく時期がありました。
- 「正解」を求める手が、時に自分を迷わせることもある
- 情報を、完成された「答え」ではなく、考えるための「材料」として捉え直す
- 知識を増やすことよりも、自分自身へ「問い」を投げかけ続けるというあり方
この記事は、「情報をたくさん収集することのメリットとデメリット」について、新人セールスパーソンの立場から、人としてどのように情報と向き合うべきかという視点で、私自身の考えを整理し共有するものです。
情報を集めることは、本当に成長につながるのだろうか
当時の私は、とにかく必死でした。
営業に関連する本を読み漁り、
成功を収めている方の話に耳を傾け、
良さそうなセミナーがあれば、迷わず足を運ぶ。
「成長するためには、まず圧倒的な知識を蓄えなければならない」
そう自分に言い聞かせていたからです。
もちろん、情報を集めることには確かな意義があります。
未知の視点に触れ、自分の小さな世界が外へと押し広げられていく感覚。
先人たちが長い歳月をかけて手にした経験を、言葉を通じて受け取れる幸運。
特に、この仕事は「経験の積み重ね」がそのまま深みになる世界です。
だからこそ、先輩たちが歩んできた道のりや、その背中にある考え方に触れることは、
暗闇を歩む新人にとって、一筋の光を放つ「地図」のように思えることもありました。
どんな道があり、どんな景色が広がっているのか。
それを知ることは、確かに一歩を踏み出す勇気を与えてくれるものです。
しかし、情報は人を迷わせることもある
ただ、情報にはもう一つの顔があります。
それは、多すぎる情報が、時として人を立ち止まらせ、迷わせるということです。
ある本には、こう書かれています。
一方で、別の高名な方の話を聞くと、全く違う視点が語られる。
人気のセミナーに足を運べば、また別の「正解」が提示される。
どれもが、確かに正しそうに見えるのです。
しかし、そのすべてが、いまの自分にとって同時に正しいとは限りません。
経験の浅い時期は、目の前の膨大な情報のなかから、
「いま、自分にとって本当に意味のあるもの」をすくい上げることが、
思った以上に難しいものです。
その結果、いつしかこんな心の揺らぎが生まれます。
「あの人の方法を取り入れたほうがいいのかもしれない」
「いや、この本に書いてあることも試すべきではないか」
そうして、一歩ずつ足を踏み出すたびに、
自分のなかにあった「軸」のようなものが、少しずつ揺らぎ、見えなくなっていく。
情報を懸命に集めているはずなのに、
気づけば、どの方向へ歩き出せばいいのか、自分でも分からなくなっている。
営業という、人と向き合う仕事の世界では、
そんな静かな混乱が、どこかで起きているように思います。
もしかすると、情報を集め続けることそのものが、
「自分で考え、行動する」という一番大切なことの代わりになってしまう、
そんな誘惑に似た側面もあるのかもしれません。
情報を集めるときに、忘れたくない視点
では、情報を集めること自体を、やめてしまったほうがいいのでしょうか。
決して、そういうことではないのだと思います。
むしろ大切にしたいのは、その情報と「どう向き合うか」という、心の置き場所なのかもしれません。
長くこの世界に身を置いて感じるのは、
営業という営みには、あらかじめどこかに用意された「正解」など存在しない、ということです。
結果を出している方々が語る方法は、誰にでも当てはまる唯一無二の「答え」というよりは、
その人自身が、悩みながら歩んできた「道の跡」のようなものではないでしょうか。
そう考えると、私たちが情報を集めるときに本当に必要なのは、
「正しい答えを探し当てること」ではないのかもしれません。
情報は「答え」そのものではなく、
自分自身の考えを深めていくための、大切な「材料」なのだ。
もし、情報を唯一の答えとして盲目的に受け取ってしまったら、
自分の営業は、いつしか誰かの鮮やかなコピーになってしまう。
けれど、それらを一つの「材料」として捉えることができたなら、
そこから、自分にしか生み出せない「考え方」が、静かに芽吹いていくはずです。
情報が増えるほど、問いを持てる人でいたい
新人のころは、どうしても「正しい方法」をすぐにでも手に入れたくなります。
それは、仕事に真摯に向き合おうとするからこそ生まれる、自然な願いです。
むしろ、責任感の強い人ほど、その傾向は強いのかもしれません。
けれど、この世界で歩みを止めることなく続けていくうちに、少しずつ見えてきたことがあります。
それは、「情報を多く持っている人」が、必ずしも成長し続けるとは限らない、ということです。
むしろ、
「この方法は、なぜこれほどまでに響くのだろう」
「この考え方は、いまの自分に本当にしっくりくるだろうか」
そんなふうに、手に入れた情報に対して、自分なりの「問い」を投げかけ続けている人のほうが、
結果として、自分の仕事を一歩ずつ、深く耕しているように見えるのです。
情報を増やすことは、現代において比較的、容易なことかもしれません。
けれど、その情報を自分の血肉となる「思考」へと変えていくには、
少しばかりの時間と、何より自分と向き合う静かなエネルギーを必要とします。
だからこそ、情報をたくさん集めること以上に、
「その情報をどう考えるか」という時間を、
いまは、何よりも大切にしてもいいのかもしれません。
もしこれから新しい情報に出会うとしたら、
私はそれを、完成された「答え」として無条件に受け取るのでしょうか。
それとも、自分の考えを深めるための、かけがえのない「材料」として受け取るのでしょうか。
そして、情報を増やすことよりも、
自分への「問い」を持ち続ける人でいられるでしょうか。
まとめ
- 情報を集めることは視野を広げ、学びのきっかけになる
- しかし情報が多すぎると、自分の軸を見失うこともある
- 情報は答えではなく、考えるための材料として向き合うことが大切かもしれない
併せて読みたい一冊
『知的戦闘力を高める 独学の技法』山口周
情報があふれる時代に、どのように学び、考え、自分の知識に変えていくのかを静かに考えさせてくれる一冊です。
情報を増やすことよりも「どう考えるか」が大切だという感覚に気づかせてくれる本だと思います。
もっと深めるためのメモ
情報と「思考」の関係を深めてみる
- 情報は思考を深めるのか、それとも思考を止めるのか
- 人はなぜ「答えのような情報」に惹かれるのか
- 考える人と、情報を集める人の違いは何か
情報と「行動」の関係に踏み込んでみる
- なぜ人は、情報を集めるほど行動できなくなるのか
- 行動する人は、どのように情報を扱っているのか
- 「知っている」と「できる」の間には何があるのか

情報と「自己(自分らしさ)」の関係を深掘りしてみる
- 情報は自分らしさをつくるのか、それとも失わせるのか
- 他人の成功事例を学ぶことは、自分の営業を強くするのか
- 自分に合う情報と、合わない情報はどう見極めるのか
“在り方”として深めてみる
- 学ぶとは何か
- 成長している状態とは何か
- 人はなぜ、安心できる情報を求めるのか