【課題004】
生命保険業界を舞台にしたエンタメ小説を作るとしたら、どのような設定がよいと思うか。自分なりの考えをまとめてください。
「もし、自分の仕事が誰かの人生という物語の一場面だとしたら」
私たちは日々、数字や成果、あるいは効率といった「自分側の物差し」で仕事を捉えてしまいがちです。
特に営業という役割を担っていると、主役はいつの間にか「提案する自分」や「商品そのもの」にすり替わってしまうことがあります。
しかし、一歩引いて、お客様の人生という長い物語を眺めてみると、そこには全く違う景色が広がっています。
この記事では、生命保険営業という仕事を、あえて「物語の登場人物」として捉え直してみたいと思います。
それは、自分が主役として輝くための方法を探るのではなく、お客様という主人公が困難を乗り越え、自分らしい未来を歩むために、自分はどう在るべきかを問うプロセスです。
- 「主役」を相手に譲る勇気
-
自分の介在価値を証明しようと力むほど、お客様の物語を侵食してしまうことがあります。
あえて黒子や脇役に徹することで、お客様自身の意志や決断をいかに際立たせることができるか、という視点。 - 「契約」を物語の「伏線」として捉える
-
契約の瞬間は、ゴールではなく物語の始まりに過ぎません。
その一枚の書類が、数年後、数十年後の主人公にとってどのような意味を持ち、どのような「救い」の伏線となるのか。
時間軸を広げて仕事を捉え直します。 - 「在り方」という名のキャラクター設定
-
優れた物語には、必ず魅力的な脇役が存在します。
知識が豊富なだけではない、相手の痛みに寄り添い、静かに背中を支える「キャラクター」としての自分。
その一貫した在り方が、お客様にどのような安心感を与えるかを考えます。
この記事は、「生命保険業界を舞台にした物語を作るとしたらどんな設定がよいか」という問いについて、顧客の視点から人との関係や理解というテーマを考え、私自身の思考を整理したものです。
なぜ最初から信頼されることは少ないのか

生命保険の営業をテーマにした小説を書くとしたら、どんな主人公がいいと思いますか?
もし誰かにそう聞かれたら、私は少し考えてから、こんなふうに答えるかもしれません。



たぶん、最初はあまり信用されていない営業の人がいいですね



信用されていない、ですか?



ええ。生命保険の営業って、正直なところ、最初から信頼されていることは少ないと思うんです
生命保険は、お金の話です。
しかも、それは単なるお金ではなく、自分や家族の将来に関わるものです。
さらに、世の中にはさまざまな営業の話もあります。
そう考えると、お客様が最初から警戒するのも無理はないのかもしれません。
丁寧に説明しても届かないのはなぜか



では、その主人公はどんな物語を歩むのでしょう?



最初は、きっと普通の営業をするんだと思います
商品の説明をする。
メリットを分かりやすく伝える。
できるだけ納得してもらえるように話す。
営業としては、ごく自然なことです。



それでも、うまくいかない?



そうですね。おそらく、なかなか契約にはつながらないと思います
一生懸命説明しているのに、どこか距離を感じる。
話は聞いてもらえているようで、なぜか深く届いていない。
営業という仕事をしていると、そういう感覚を覚えることがあります。
お客様は本当に何を求めているのか



では、どこで物語が変わるのでしょうか



たぶん、あるとき主人公が気づくんじゃないでしょうか



何に気づくのですか?



お客さんは、商品の説明を聞きたいわけではないのかもしれない、ということにです
もちろん、保険の内容は大切です。
しかし、それだけでは人の気持ちは動かないことがあります。



では、お客様は何を求めているのでしょう?



自分の話を、ちゃんと聞いてくれる人かもしれません
家族のこと。
将来の不安。
これまでの経験。
そうしたことは、普段あまり人に話す機会がありません。
だからこそ、もし本当に耳を傾けてくれる人がいたとしたら、その存在は少し特別なものになるのかもしれません。
「売る人」と「理解しようとする人」の違い



では、この物語は、営業が成功する話なのでしょうか?



成功…どうでしょうね
もしかすると、契約は増えるのかもしれません。
しかし、物語の本質はそこにはないような気もします。



では、何が大事なのでしょう?
お客様の立場から見たとき、一番気になるのは、もしかするとここなのかもしれません。
この人は、売ろうとしているのか。
それとも、理解しようとしているのか。
その違いは、とても小さなものかもしれません。
けれども、人と人との関係の中では、決して小さくない違いでもあります。
もし主人公がその違いに気づいたとしたら、きっとこの仕事の見え方は少し変わっていくはずです。
営業の物語ではなく、人の物語として捉え直す
生命保険業界を舞台にした小説と聞くと、営業のテクニックや競争の物語を想像する人もいるかもしれません。
しかし、お客様の立場から考えてみると、少し違う物語もあるのではないかと思います。
それは、営業の物語というよりも、人が人を理解しようとする物語です。
誰かの人生に触れながら、少しずつ相手を理解しようとする。
そしてその過程の中で、主人公自身も少しずつ変わっていく。
もしそんな物語があるとしたら、それは生命保険という仕事の、もう一つの姿を映しているのかもしれません。
そして読み終えたあと、読者の中にこんな問いが残るのではないでしょうか。
人と向き合うというのは、どういうことなのだろう。
今日、あなたが関わった誰かの物語の中で、あなたはどんな登場人物として映っていたでしょうか。
その物語がハッピーエンドに向かうために、明日のあなたは、どんな言葉を添えたいと願っていますか?
まとめ
- 生命保険営業は最初から信頼されているとは限らない
- お客様が本当に求めているのは商品の説明ではなく「理解されること」かもしれない
- 営業の物語よりも「人が人を理解しようとする物語」に生命保険の本質がある可能性がある
併せて読みたい一冊
『ツバキ文具店』小川糸
手紙の代筆を通して、人と人との気持ちの間に静かに寄り添う物語です。
派手な出来事は多くありませんが、「人の思いを受け取ることとは何か」をやさしく考えさせてくれる一冊です。
もっと深めるためのメモ
視点をずらす(誰の物語かを変える)
- 生命保険営業ではなく、「顧客」を主人公にした場合、どのような物語になるか?
- 「紹介してくれた人」を主人公にした場合、その人は何を感じているのか?
- 営業を断った顧客の視点で物語を描くと、何が見えてくるか?
時間軸をずらす(結果ではなく過程を見る)
- 契約した「その後」を描く物語にすると、何がテーマになるか?
- 10年後にその保険の意味が分かる物語にすると、どんな展開になるか?
- 契約しなかった選択が、後にどのような意味を持つ物語になるか?
構造をずらす(成功・失敗の定義を崩す)
- 契約が一件も取れない営業が主人公でも成立する物語とは何か?
- 「売れない営業」が実は最も価値を生んでいたとしたら、どんな話になるか?
- 成功している営業が、ある出来事をきっかけに自分の仕事を疑い始める物語はどうなるか?
本質をえぐる(違和感から考える)
- なぜ生命保険営業は「怪しい」と思われてしまうのか?
- 人はなぜ「必要だと分かっているもの」を後回しにするのか?
- 人はなぜ、自分の将来について真剣に考えることを避けるのか?
その他の視点
- 「自分にしかできない営業」とは、物語でどう表現できるか?
- 「優しい営業」とはどのような人物として描けるか?
- 思考する営業と、思考しない営業の違いは物語でどう表れるか?






